目を開けるとそこには真っ白な空間が広がっていた。
ふぇ?
ここ・・・何処?
キョロキョロと辺りを見渡すとそこには真剣そうな陽子ちゃんの顔が一つ。
見ると陽子ちゃんはイスに座り、本を読んでいる。
アクティブな陽子ちゃんが本を読むことじたい、珍しくわたしは彼女の姿を食い入るように見つめていた。
私の視線に気づいた彼女は少しだけ驚いているようだった。
本を素早く、閉じ心配そうにわたしを見る。
彼女の視線がわたしの混乱をより加速させる。
あれ?授業は?
おかしいな、そういえば・・・・陽子ちゃん達と美術室に向かう途中だったはず・・・・
覚めやらない頭で必死に考えていると陽子ちゃんがそっとわたしの頬に触れる。
「ふぇ!?よ、陽子ちゃん?」
予想だにしなかった事態にわたしの思考はついて行くはずも無く、素っ頓狂な声を出すしかなかった。
それでも彼女は何も言わず、真剣そうな顔でわたしの頬に触れるのだった。
わたしはそれに耐えられなくて、かけてある毛布から逃げ出すように身体を起こすのだった。
心臓がばくばくして、顔から火が出そうだ。
わたしが身体を起こした途端、陽子ちゃんは分からないといった顔で「はとちゃん?」とわたしに言うのだった。
手はわたしの頬からちゃんと離れている。
呼吸を整え、わたしは叫ぶ。
そう、陽子ちゃんの方を向いて。
「よ、陽子ちゃん!!!」
「何?」
あっけらかんと陽子ちゃんは返事をする。
うっ・・・・・・
「あ、あのね・・・・きゅ、急に触られるとびっくりするんだよ・・・」
恥ずかしげに視線を逸らすわたしの目にふと何かが留まる。
あれ?
陽子ちゃんの腕、朝から絆創膏なんて貼ってたっけか?
一度気になったことは相手に聞くまで気になることであって、視線すらそこに吸い込まれてしまうのだった。
うーん・・・・
迷っていると陽子ちゃんの心配そうな声が耳に届く。
「・・・・はとちゃん?」
「え・・・?」
「どうしたの?」
「えーと・・・その・・・陽子ちゃんの腕、ど、どうしたのかなぁと思って。あっ、その・・ね?朝からあったかなぁと・・・」
しどろもどろになりながら話すわたしに陽子ちゃんは一瞬だけ目を大きくしながら、嗚呼、これ?と絆創膏を貼った腕を指差すのだった。
さも当たり前に話す陽子ちゃんに拍子抜けしながらも彼女の言葉をじっと待つ。
「これね、はとちゃんを受け止める時に擦っただけ。だから、心配しなくても大丈夫!!なんたって、あたしは不死身だから!!」
そう言いながら、彼女はケタケタ笑うのだった。
初めて聞かされた事実に戸惑うわたしに陽子ちゃんはそれより、なんて言いながらわたしの腕に優しく触れる。
「陽子ちゃん?」
ん、と返事をしながら、わたしの腕を見ている陽子ちゃんの顔がふと曇る。
「あー・・・・ここ、赤くなってる。はぁ、守ったつもりだったのになぁ・・・・」
悔しそうに言う陽子ちゃんを元気付けたくて、わたしは腕をぶんぶんさせてみる。
あれ?
なんか、痛い・・・・・
そんなわたしを陽子ちゃんは訝しげに見つめる。
う・・・・ば、ばれたかな。
こういう時の陽子ちゃんって、かなり鋭いんだよね・・・
うーん・・・・・
無理やり笑顔を作ってみるも陽子ちゃんの目は依然として変らない。
「陽子ちゃん・・・わたし、大丈夫・・だよ?」
「ほんとに?」
「そ、それよりも陽子ちゃんの方が心配だよ!!わ、わたし・・重かったよね・・?ご、ごめんね!!わたし・・・あ・・」
泣きそうになりながら喋るわたしの口に陽子ちゃんの指が触れ、その代わり、陽子ちゃんが口を開く。
「はとちゃんに泣かれたらあたし、何のために助けたかわかんないでしょ?ほら、笑って、笑って」
笑顔でわたしの頬を引っ張る陽子ちゃんの優しさに涙が出そうになる。
必死で笑顔を作るもあと少ししたら泣いてしまいそうだ。
でも、大丈夫。
泣いてしまったら、痛かったからと言えばいいから。
Fin
おまけ★
泣いた後・・・・・
陽子「で?」
桂「で・・・って?」
陽子「んー、今度、はとちゃんにお礼としてほっぺにチューしてもらおうかなぁと思って♪」
桂「え?よ、陽子ちゃん・・じょ、冗談だよね?(汗)」
陽子「えーw?逃がさないよ?はとちゃんっ♪」
桂「えっ!?ちょ、ちょっとまっ・・・」
はとちゃんを押し倒そうとしたら、お凛に怒られました。
by奈良陽子
おまけとか普通に要らない気が・・・・wwww
ギャグも好きだけどねぇ・・・・www