うー・・・腹減った・・・

 

なのに、今日は舞衣がいない・・・・

 

何を隠そう今日は舞衣の帰りが遅いのだ。

 

それなのに、食べるものを用意するのを忘れてしまった・・・

 

うー・・・・舞衣からお金を渡されたのに・・・

 

そう思っていると凄まじい音が部屋に響く。

 

うー・・・・限界だ・・・・・腹が・・・

 

悔しさと空腹に耐え切れず、よろよろと立ち上がる。

 

そして、数メートル先にある冷蔵庫に手をかけるのだった。

 

顔はもはや、飢えた獣のようだった。

 

腹減った・・・・・

 

開けた瞬間、冷たさに身体が一瞬だけ震える。

 

寒い・・・・・

 

うろたえながらも冷蔵庫を物色し、そして、溜息。

 

何故って、中には牛乳しかなかったから。

 

溜息を吐きながらも、牛乳に手を伸ばし、コップに並々と注ぎ、一気に胃へと流し込む。

 

そう、手を腰にあてるあのポーズで。

 

静かな部屋に牛乳を飲む音だけが聞こえる。

 

ゴクゴクという規則正しい音を刻みながら。

 

数秒後、少しだけ元気になった命が声を上げる。

 

「ぷはぁー・・・やっぱ、牛乳は美味いな!!!」

 

そして、空っぽになったコップをテーブルに置き、口を乱暴に拭う。

 

だが、その元気も数秒しか続かなかった。

 

「・・・牛乳だけじゃ・・・やはり、腹が減る・・・・」

 

お腹の足しになったと言えどもやはり、牛乳では足りない。

 

育ち盛りの命のお腹はキュルキュルという音を出し、主に食べ物を要求するのだった。

 

それでも、実際もう遅いのは確か。

 

何故だと聞くなら答えてやろう・・・・9時以降に出かけてはいけないと舞衣と約束したから。

 

胸を張って言うもすぐさま、現実に戻る。

 

「舞衣・・・・・・・」

 

情けない声を上げながら、うらめしそうに時計を見ると・・・・934分・・・・

 

・・・・・・・腹減った・・・・

 

ひたすら舞衣の帰りを待っているのだが、部屋の中で力尽きてしまいそうだった。

 

うー・・・舞衣〜・・・・・

 

お腹が減りすぎて、涙が出そうになる。

 

舞衣のラーメンが食べたい・・・・・

 

「・・・・・・命いる?」

 

ドアが遠慮気味に開き、薄暗い部屋に聞き覚えのある声が響く。

 

「・・・・・奈緒?」

 

弱々しい声で同級生の名を呼ぶ命。

 

空腹で動けなくなるのは時間の問題らしい事が声で解る。

 

一方、奈緒と呼ばれた人物は呆れながら、言葉を紡ぐのだった。

 

「・・・・・・・・・あんたねぇ・・・・明かりくらい付けなさいよ」

 

奈緒はドアの傍にあるスイッチに触れ、部屋に明かりを灯す。

 

急に明るくなったことに目が耐え切れず、命は目を細めスイッチの方へ視線を向ける。

 

すると・・・・・両手に袋を提げ、呆れ顔で立っている奈緒が見えるのだった。

 

「・・・・・・・奈緒」

 

「はぁ・・・何よ、その今にも死にそうですみたいな顔は・・・てか、ほら」

 

そう言いながら、奈緒は命の方へ歩み寄り、手を伸ばすよう指示するのだった。

 

何かを探すように袋に手を入れる奈緒を死んだ魚のような目で見る命。

 

ふと目線を上げた奈緒が苦笑しながら、命の方へ歩み寄る。

 

手に何か持っているようだった。

 

そう認識した途端、命の手に温かい何かがそっと触れる。

 

触れた瞬間、温かさと重みを感じるのだった。

 

驚いた顔で奈緒を見ると「肉まん。他にもあるけど・・・あんた、これ好きでしょ?」と一言。

 

無言で頷いた後、肉まんに噛り付く命を眺めながら奈緒はふと思う。

 

あたし、何、やってんだが・・・・・と。

 

Fin

 

この裏話的なssも更新したいですねぇ・・・・www

舞衣と奈緒の会話とかありそうな予感・・・・www