眩しいと目を細めていたのに

 

今は貴女ばかりを見てしまいます。

 

はぁ・・・どうしてくれるんです? 

 

ハルカお姉さま。

 

「ちょっとあんた・・・ちゃんと聞いてんの!!ねぇ!!」

 

廊下に響きわたる呂律の回っていない声とその声をなだめるように紡ぎ出される声。

 

そして、何かが暴れるような騒音。

 

勿論、前者はハルカお姉さまの声である。

 

まったく・・・困った人です、ハルカお姉さまは。

 

溜息をつきながら、声のする方に目を向ける。

 

嗚呼・・・やっぱり。

 

やれやれと溜息を吐きたくなるのをぐっと抑え、困惑気味のチエ・ハラードに声をかける。

 

その腕にはハルカお姉さまがぐだりと身体を預けている。

 

支えていないと今にも崩れ落ちてしまいそうだった。

 

「・・・ハルカお姉さまの酒癖の悪さ、知らなかった?」

 

その言葉に苦笑いしながら、チエ・ハラードはえぇと頷く。

 

そう、先ほどまで暴れていたハルカお姉さまを横目で見ながら。

 

「でも・・・・知ってたとしてもここまでだとは誰も思いませんよ」

 

うんざりしたように言う彼女の顔に疲労の色が見える。

 

そういえば、髪もボサボサ、顔には小さな引っ掻き傷がある。

 

まさか・・・・・

 

「あ、分かります?」

 

口を開こうとした途端、チエ・ハラードが抱きかかえているハルカお姉さまを起こさないよう声のトーンを落として言うのだった。

 

「その傷・・・まさか、ハルカお姉さまが・・・?」

 

「えぇ、准将には負けますよ・・・今、閣下が絆創膏と消毒液を取りに行っているところなんです。ホント、誰のパーティーなんだか・・」

 

「まったくです、本当にハルカお姉さまときたら・・・・今日は就任パーティーであって・・・お姉さまの・・」

 

ぶつぶつと文句を言っているとハルカお姉さまがうーんと声を上げる。

 

一瞬、息を殺したように静まり返る。

 

ここで騒いではいけないという何か分からない直感が働くのだ。

 

そして、数秒。

 

「・・・・・もう、大丈夫ですかね・・?」

 

「えぇ・・それと、ハルカお姉さまを寝室まで運びます。貴女はクリサント閣下を」

 

そう言い放ち、ハルカお姉さまを片手で担ぎながら、スタスタと長い廊下を歩いていく。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

大統領室の隣にハルカお姉さまの部屋があるのだが、中はトレーニング部屋と化している。

 

ふぅ・・・・・・

 

鉄製のドアを開け、明かりをつける。

 

眩しさに目が眩みながら、ハルカお姉さまをゆっくりベットに下ろす。

 

「うーん・・・・」

 

毛布をかけるとくぐもった声を上げながら、身体を丸くするハルカお姉さま、まるで、小さな子供のようだった。

 

目を細めて少しだけその様子を見る。

 

まったく・・明日はお説教です、ハルカお姉さま。

 

心の中でそう呟き、邪魔にならないよう静かに出て行こうとする。

 

その瞬間、引っ張られる感じがし、振り返る。

 

見るとハルカお姉さまが服の裾を握っているのだった。

 

「あの・・・お姉さま?」

 

握ったまま寝てしまっているのだろうか、名前を呼んでも無反応。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「まったく・・・これだからハルカお姉さまから・・目が離せないんですよ・・・」

 

そう小さく呟き、広すぎる彼女の額にそっとキスするのだった。

 

きっと、クリサント閣下とハラード少佐がもうすぐ、来てくれるだろう。

 

それまではずっとこのままで・・・・・・・

 

Fin

 

初のハルサラというかサラハル・・・・ww

しかしながら、サラの口調が全然、分からないので、伝わるかなぁというのが一言です(苦笑)

でも、サラハルもいいかもと書き終わった後、思いましたwww