ベッドから伸ばされた手は血が滲んでいるかのように赤かった。
そういえば、冬になると指先の皮が剥けるってドミヌーラが前、言ってたような気がする・・・
「ドミヌーラの手・・・紅い・・・」
リモネはその手が自分の頭上に届く前に捕まえ、赤くなった指先にそっと舌を這わせる。
痛いかな・・?やっぱり・・・。
「リ、リモネッ!?」
予期せぬ行動にたじろぎながらドミヌーラはリモネに問いかける。
いったい、何をしているのだと。
リモネはパッと顔を上げ、嬉しそうに「ひょうどく・・」と呟くのだった。
ドミヌーラの指を銜えたままだったので、巧く言えていないのだが実際、リモネにはどうでもいいことだった。
すぐさま、視線を戻し、口をそっと閉じる。
その途端、ドミヌーラの指先に温かさが蘇ると同時に小さな痛みが走った。
ドミヌーラの小さな震えにリモネは気が付いていなかった。
消毒しなくちゃ・・・ちゃんと。
一生懸命なリモネの舌が触れる度、ドミヌーラの体が小刻みに震えあがる。
溢れ出しそうになる音を必死で抑え、意識を指先から遠ざける。
ドミヌーラの理性は限界に近かった。
それでも、リモネは舌先を動かし続ける。
まるで、自らが薬であるかのようにドミヌーラの指先に潤いを与え続けるのだった。
静かな空間に響く不規則な水音と堪えきれずに漏れ出した甘い吐息―――
その声に気がついたリモネがふと顔を上げる。
二人の視線がぶつかる。
赤く潤んだ瞳と現れては消える鋭い痛みにドミヌーラの身体が無意識に強ばる。
だが、リモネはドミヌーラに「あと、もう少し・・」と言うだけであった。
そして、何事も無かったようにリモネの舌がドミヌーラに再び、触れる。
瞬く間に指先は赤く光り、それを写したかのようにドミヌーラの頬が赤く染まる。
「リモネッ・・・」
苦しげに紡ぎだされた声はドミヌーラ自身驚くほど弱々しかった。
不意に呼ばれ、リモネはドミヌーラの指先からゆっくりと離れる。
その瞬間、リモネの唇に熱が伝わった。
ゆっくり唇を離した後、リモネはドミヌーラを真っ直ぐ見つめていた。
唇は血を写したかのように赤く、濡れている。
ドミヌーラの顔・・・・紅い・・・・。
気づけば、体が壁際に押し付けられていた。
冷たい壁を感じた瞬間、リモネの体が反転する。
ドミヌーラに押し倒され、小さなお姫様は柔らかなベッドに沈み込んでいた。
目を開けると低い天井と頬を紅くしたドミヌーラが見える。
妖艶と言っていいほどドミヌーラは美しく、リモネはいつの間にかドミヌーラに惹きこまれていた。
視線を逸らすことはもう、出来そうに無かった。
そして―――二人の影が重なり合い、部屋の中には甘い香りが漂ってくるのだった――
夜は当分、明けそうにない―――
Fin
アオコ様へ捧げたドミリモssをupしてみましたww
微エロを目指したのですが、どうでしょうか?